メンズファッションに興味を持った人なら、一度は「藤原ヒロシ」という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「キング・オブ・ストリート」や「ストリートカルチャーのゴッドファーザー」と呼ばれ、国内外のアーティストやデザイナーから絶大なリスペクトを集める存在です。
DJ、音楽プロデューサー、デザイナーとして、世界のストリートファッションシーンを牽引してきた藤原ヒロシ氏。彼が手掛けたブランドやナイキなどの大人気スニーカーとのコラボレーションは、発売されるたびに即完売となる社会現象を巻き起こしています。
さて、この記事では、そんな藤原ヒロシ氏の昔の功績から彼が主宰する「fragment design(フラグメントデザイン)」の活動まで徹底的に紐解いていきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください!
1. 藤原ヒロシとは?
藤原ヒロシ氏は、まさに「カルチャー」を創り上げてきたレジェンド的な人物といっても過言ではないでしょう。
まずは、彼がなぜファッション界でレジェンドと呼ばれるのか解説していきたいと思います。
1-1. 流行りの基準をつくる「キング・オブ・ストリート」
藤原ヒロシ氏が「キング・オブ・ストリート」と称される最大の理由は、彼自身が「流行の基準」であり続けてきたからです。
藤原ヒロシ氏の凄さは単に服をデザインすることに留まりません。
DJとしてプレイする音楽や愛用するスニーカー、ライフスタイルすべてが注目され、瞬く間に若者たちの間に浸透していきました。
今でこそインフルエンサーという言葉がありますが、彼はSNSもなかった80年代から自身の活動を通じて「カッコいい」と思うモノやコトを発信し続け、それがそのまま東京のストリートカルチャーとなっていったのです。
ルイ・ヴィトンやナイキといった世界的なトップブランドが、こぞって彼にコラボレーションを依頼するのは、デザインセンスはもちろん ”藤原ヒロシという存在そのもの” に、カルチャーを動かす絶大な影響力があるからです。
1-2. ストリートカルチャーの創造主
藤原ヒロシ氏の最も大きな功績は、80年代に海外の最先端カルチャー(特にヒップホップ)を日本に持ち込み、独自の「ストリートカルチャー」として確立させたことです。
10代でロンドンやニューヨークに渡った彼は、現地のクラブシーンでDJとしてのキャリアをスタート。日本に帰国後、日本で初めてDJカルチャーやヒップホップを本格的に広めたパイオニアの一人となります。
彼が発信する音楽やファッションは、当時の若者に熱狂的に受け入れられました。 さらに、NIGO氏(A BATHING APE)や高橋盾氏(UNDER COVER)といった、後の「裏原宿ムーブメント」を牽引する多くの才能あるデザイナーたちに多大な影響を与え、彼らが世に出るきっかけを作ったのも藤原ヒロシ氏です。
彼がいなければ、現在の日本のストリートファッションシーンは全く違うものになっていたでしょう。
1-3. デザインプロジェクト「fragment design(フラグメントデザイン)」の主宰
現在の藤原ヒロシ氏の活動を語る上で欠かせないのが「fragment design(フラグメントデザイン)」です。
fragment designは、彼が主宰するデザインプロジェクトであり特定のアイテムを定期的に作るブランドとは少し異なり、藤原ヒロシ氏が「面白い」と感じた様々な企業やブランドとタッグを組むプロジェクト集団。

※スタッフ私物です。
稲妻のロゴがアイコニックな存在となっており、ナイキのスニーカーからスターバックスのタンブラー、高級車のマセラティ、さらにはK-POPアイドルのNewJeansのグッズに至るまで、そのコラボレーションの幅は計り知れません。
2. 藤原ヒロシの経歴
藤原ヒロシ氏がどのようにして「キング・オブ・ストリート」と呼ばれるようになったのか、その輝かしい経歴を時系列で紐解いていきたいと思います。
2-1. DJ活動と裏原宿カルチャー
今でこそファッションデザイナーのイメージが強い藤原ヒロシ氏ですが、その原点は「音楽」にあります。
1980年代、彼は10代で単身ロンドン、そしてニューヨークへ渡ります。
そこで当時生まれたばかりのヒップホップカルチャーやパンクカルチャーに衝撃を受け、最先端の音楽とファッションを日本に持ち帰りました。
帰国後、彼はDJとして日本のクラブシーンで活躍。高木完氏と共にヒップホップユニット「タイニー・パンクス」を結成するなど、日本にDJカルチャーを根付かせた第一人者となります。
彼がプレイするレコード、彼が着ている服、その全てが当時の若者たちの憧れの的となりました。このムーブメントこそが、後にNIGO氏や高橋盾氏らが活躍する「裏原宿カルチャー」の土台となったのです。
2-2. 多くのデザイナーに影響を与えたブランド「GOODENOUGH(グッドイナフ)」
音楽シーンで絶大な影響力を持った藤原ヒロシ氏は、1990年にアパレルブランド「GOODENOUGH(グッドイナフ)」を立ち上げます。
店舗を持たず、ごく限られたセレクトショップでのみの展開。インターネットもない時代、情報が限られる中で生み出されるイケてるデザインは爆発的な人気を呼び、入手困難な「幻のブランド」としてストリートシーンを席巻します。
2-3. 現在も続く、音楽とファッションへの尽きない情熱
GOODENOUGHの成功後も「FINESSE(フィネス)」など複数のブランドを手掛け、常にシーンの最前線を走り続けます。
そして2000年代に入ると、自身の活動をさらに柔軟な形へとシフトチェンジ。
現在も続くデザインプロジェクト「fragment design」の誕生を叶えました。
また、DJ活動は一段落させたものの音楽への情熱は尽きず、ギタリストやシンガーソングライターとして自身のアルバムをリリースするなど、ミュージシャンとしての活動も継続しています。
彼のキャリアは、特定の分野に留まることなく、常に「自分が面白いと思うこと」を追求し続ける好奇心によって築かれているのです。
3. 藤原ヒロシとコラボレーションしたブランド5選
藤原ヒロシ氏の活動を語る上で最も重要なのが、彼が主宰するfragment designによるコラボレーション。
アイコニックな稲妻のロゴが入るだけで、アイテムは即完売・プレミア化必至となります。
ここでは、彼の膨大なコラボレーションの中から、ファッション好きなら知っておきたい5つのブランドを紹介していきたいとおもいます。
3-1. 【NIKE】スニーカーヘッズを熱狂させる名作
藤原ヒロシとNIKE(ナイキ)の関係は非常に深く、彼のコラボレーションを象徴する存在です。特に「スニーカー」フリークにとっては、彼の動向は常に注目の的。
2014年に発売された「AIR JORDAN 1 RETRO HIGH OG "FRAGMENT"」は、伝説的な一足として今も高額で取引されていることが多いです。
他にも「DUNK HIGH」や近年の「TRAVIS SCOTT」を加えたトリプルコラボなど、彼が手掛けるナイキのスニーカーは常に世界中のファッションシーンで話題の中心となります。
3-2. 【Louis Vuitton】ストリートとラグジュアリーの架け橋
ストリートシーンのカリスマである藤原ヒロシ氏が、世界最高峰のラグジュアリーブランドであるLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)とコラボレーションしたことは、ファッション業界に衝撃を与えました。
2017年に発表されたこのコラボは、ラグジュアリーブランドが本格的にストリートカルチャーを受け入れた象徴的な出来事。
バッグやアパレルに大胆に稲妻ロゴや「FRAGMENT」の文字が配され、ストリートとラグジュアリーが見事に掛け合わさったコレクションは、彼の「キング・オブ・ストリート」としての地位を不動のものにしました。
3-3. 【Moncler】世界を巻き込む「モンクレール ジーニアス」
ダウンジャケットの王者、Moncler(モンクレール)が世界中のトップデザイナーを招聘して行うプロジェクト「Moncler Genius(モンクレール ジーニアス)」。
藤原ヒロシ氏は、この革新的なプロジェクトの最初のデザイナーの一人として選ばれました。彼らしい洗練されたストリートテイストをモンクレールの高品質なアイテムに落とし込み、世界中のファッション関係者から高い評価を受け続けています。
3-4. 【Starbucks】ライフスタイルに溶け込む洗練されたデザイン
彼のコラボレーションは、アパレルだけに留まりません。
Starbucks(スターバックス)とのコラボも、彼のライフスタイルへの影響力を示しています。
タンブラーやマグカップ、スターバックスカードなどに、fragment designのミニマルで都会的なデザインが施されます。ファッション好きだけでなく、幅広い層が彼のデザインに触れるきっかけとなりました。
3-5. 【NewJeans】次世代のポップカルチャーとの共鳴
常に新しいカルチャーにアンテナを張る藤原ヒロシ氏は、最近では世界的に活躍するK-POPグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」ともコラボレーションしています。
NewJeansのグッズやポップアップストアのディレクションを手掛け、稲妻ロゴと彼女たちのウサギのモチーフ(Tokki)が融合したデザインは大きな話題を呼びました。
60歳を迎えてなお、世代や国境を超えて次世代のカルチャーともフラットに繋がる姿勢こそ、彼が現代にいなくてはならない存在であり続ける理由です。
4. 藤原ヒロシが愛用するファッションブランド3選
世界中のあらゆるブランドとコラボレーションしてきた藤原ヒロシ氏。
では、藤原ヒロシ氏自身はプライベートではどのような服を愛用しているのでしょうか。
ここでは、彼が愛用することで知られる3つのブランドを紹介していきたいと思います。
4-1. SEQUEL/シークエル
近年、藤原ヒロシ氏の着用頻度が非常に高いのが「SEQUEL(シークエル)」です。
彼自身のSNSなどでも頻繁に登場し、大人のストリートスタイルはまさに「今の藤原ヒロシ」を体現するブランドと言えるでしょう。
4-2. NIKE/ナイキ
藤原ヒロシ氏の私服のファッションにおいてもNIKE(ナイキ)は欠かせません。
自身が手掛けたfragment designモデルはもちろん、最新のランニングシューズからヴィンテージモデルまで、あらゆるナイキのスニーカーを履きこなしています。
4-3. SOPH./ソフ
「SOPH.(ソフ)」(現SOPHNET. ソフネット)も、藤原ヒロシ氏と関係の深いブランドの一つです。
デザイナーの清永浩文氏は、昔の裏原宿時代から藤原ヒロシ氏と親交が深く、互いにリスペクトし合う盟友のような存在です。
機能的で都会的なSOPH.のアイテムは、藤原ヒロシ氏のプライベートファッションにもよく取り入れられています。
5. キングオブストリート、藤原ヒロシ。
いかがだったでしょうか?
今回は、日本が誇るデザイナーの藤原ヒロシ氏について深く解説させていただきました。
藤原ヒロシ氏が「キングオブストリート」と呼ばれる理由、その凄さは昔も今も変わらず、彼自身がカルチャーの基準であり続けている点にあります。
彼が次に何に注目しどのブランドと手を組むのか。
ストリートファッションの「今」を知るためには、藤原ヒロシ氏の動向から目を離さないことが一番の近道なのかもしれません。









